タクシー運転手の仕事はきついと聞いたことはありませんか。本記事では、さいたま市内で働くタクシー運転手たちの日常や経験を通じて、その真実に迫ります。深夜勤務や交通渋滞との戦い、利用客とのコミュニケーション、そして収入についてのリアルな情報を紹介します。タクシー運転手の一日を垣間見ながら、この仕事のリアルな姿に迫ります。
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タクシー運転手の仕事は本当にきついのか?
タクシー運転手の仕事は、一般的にきついとされています。とくにさいたま市などの都市部では、長時間の勤務が必要であり、交通渋滞などによるストレスが多いです。
また、利用客とのコミュニケーションや顧客トラブルもあります。給料は不安定で、事故や事件に巻き込まれるリスクも存在します。仕事には魅力もありますが、体力的・精神的に自信がある人でないと長続きしにくいとされています。
タクシー運転手の仕事がきついと言われる理由とは?
タクシー運転手の仕事が、きついといわれる要素にはいくつかの理由があります。その中でも、以下が厳しい点として挙げられます。
勤務時間の長さ
タクシー運転手は多くの場合、長時間の勤務が求められます。とくに、さいたま市などの都市部では深夜や早朝にも対応する必要があり、生活リズムが乱れがちです。長時間の運転による疲労も身体に負担をかけます。
マナーの悪い顧客がいる
利用客とのコミュニケーションはタクシー運転手にとって非常に重要ですが、一部にはマナーの悪い顧客も存在します。不機嫌な顧客や、トラブルを引き起こす顧客の対応でストレスを溜めることも多いです。
給料が安定しない
タクシー運転手の収入は、運転時間や利用客の需要に大きく左右されます。競争も激しく、高い報酬を得るためには長時間労働が必要とされ、そのために家庭との調整が難しくなることもあります。給料が安定しない不安定な職業といえます。
事故のリスク
とくにさいたま市のような都市部では交通量が多く、事故の発生確率が高まります。事故に巻き込まれた場合、身体的・精神的なダメージと、保険や修理費用に関する問題が待っています。
事件に巻き込まれるリスク
利用客とのトラブルや、暴力事件に巻き込まれるリスクも考えられます。とくに深夜勤務時には、不審な顧客と接する機会も増え、安全面に関して警戒が必要です。さいたま市のような都市部ではこれらのリスクがあり、タクシー運転手は常に慎重さが求められます。
タクシー運転手の労働時間(勤務体系)がきつい
タクシー運転手は長時間の運転を強いられるイメージがあります。そのため、どうしても勤務体系に対するストレスを抱える方が多く「きつい」と感じやすいのでしょう。法律でも20時間までと決まっています。
しかし、実際のタクシー運転手の最低労働時間は17時間です。「20時間まで働ける」というだけであって、すべての人が20時間も勤務しなければいけないわけではありません。そのうち3時間は休憩に充てられるので、本来タクシー運転手が働く時間は17-3=14時間になります。
もちろん会社や個人によって差があるため、14時間以上の労働時間になる場合もあります。それでも、想像よりきついと感じることは少ないでしょう。休憩も義務づけられているのが3時間なので、それ以上とってもとくに問題ありません。
周りに自分の職業を言えない
どんな仕事でも、やりがいを感じていれば恥じる必要はありません。それでも、職業・業態を気にする方は一定数存在します。
タクシー運転手は、そんな「周りにいえない職業」のひとつとして挙げられています。なぜ、マイナスな印象を持たれやすいのでしょうか?一番の理由は、難易度が高い大手に就職している人が褒め称えられやすいことにあります。
日本では、大手企業や外資系で働いているというだけで魅力的に見られがちです。「三高」なんて単語もあるくらいですから、タクシー運転手は肩身が狭く感じるのでしょう。
しかしイギリスでは、タクシー運転手=憧れの職業といわれており、相当むずかしい地理試験に合格しないと働くことができません。国によってタクシー運転手の位置づけが違うのは仕方がありませんが、効率的なルートを選び、人々を目的地まで安全に運ぶ仕事に恥ずかしさを感じる必要はありません。
タクシー運転手は体力がないときつい
タクシー運転手は肉体労働なので、体力がないときつく感じるかもしれません。そのうえ夜勤があると、不規則な生活を送ることにもなるでしょう。
引越しや配達業のように荷物を運ぶ作業はないため、極端に体を動かす必要はありませんが、すぐに体調を崩してしまうような人はあまり向いていません。同じ姿勢でジッとしていられない人にも不向きでしょう。
とはいえ、ひと口にタクシー会社といってもさまざまです。最近は女性ドライバーも活躍しており、女性に特化した制度を取り入れている会社も増えています。タクシー向けのアプリも開発されているので、ひと昔前に比べると働きやすくなっています。自分に合った働き方ができる会社もありますから、体力がない方でも安心です。
タクシー運転手は社会的信用がないからきつい
社会的信用に関しては、銀行で借入をする場合に限り難易度が高くなります。というのも、銀行は固定給の人を優先するからです。
タクシー運転手は歩合給になるため、安定継続した収入が見込めません。歩合率はタクシー会社によって異なりますが、一般企業に努めているサラリーマンに比べるとどうしても不安定です。
もちろん判断材料のひとつにしか過ぎないので、タクシー運転手だから「社会的信用がない」「お金が借りられない」わけではありません。なかには家を購入しているもいますから、個信がきれいならそこまで気にする必要はないでしょう。
タクシー運転手はメリットも多い!人間関係や休日、自由度について
タクシー運転手の仕事には、厳しい側面もある一方で、多くのメリットも存在します。とくにさいたま市などの都市部でのタクシー運転手の仕事には、以下のような魅力があります。
職場での人間関係の悩みが少ない
タクシー運転手は基本的に一人で運転をおこなうため、職場での人間関係の悩みが少ないのが大きなメリットです。仕事のストレスが同僚との関係に影響を及ぼすことが少ないため、精神的な安定感があります。
ほかの職種よりも休日が多い
タクシー運転手の勤務は、長時間労働と上記で紹介しましたが、休日が多いという利点があります。2日分の労働を1回でおこない、翌日は必ず休日となります。公休を合わせれば、月の労働日数は基本的に12、13日となります。休みが多いと、家族と過ごしたり、趣味に時間を使ったりできます。
歩合制で自分のペースで働くことができる
タクシー運転手の収入は歩合制が一般的であり、自分の努力次第で収入を増やすことが可能です。自分のペースで働きながら、頑張った分だけ報酬を得ることができるため、モチベーションが高まります。
二種免許があればすぐに働くことができる
タクシー運転手になるためには二種免許が必要ですが、すでに二種免許を持っていればすぐに働くことができます。ほかの職種に比べてスタートが早く、仕事に就く手間が少ないのが利点です。
地理にくわしくなれる
タクシー運転手は経験を積むことで、地元の特性や道路情報にくわしくなり、地理的な知識が豊富になります。これは生活や趣味にも役立つスキルとなり、知識の幅が広がります。
このように、タクシー運転手の仕事はメリットも多い職業です。自分の時間を柔軟に使いながら、収入を得ることができるため、ライフワークバランスを重視する人にとって魅力的な職業といえるでしょう。
タクシー運転手に向いている人に共通する4つの特徴
コミュニケーション能力が高い
タクシー運転手は接客業なので、コミュニケーション能力が重視されます。もちろん、コミュ力が高くないと務まらないわけではありませんが、人と話すのが好きだったり、気配り上手だったりと、ある程度のコミュ力が求められます。
「コミュニケーション能力に自信はないけれど、タクシー運転手として働きたい」という方は、ほかの項目をクリアしていれば問題ないでしょう。たとえば、長距離・長時間の運転でも苦にならない方や自己管理できる人などが挙げられます。
また、コミュ力が低いながらも、一生懸命接客するタクシー運転手はお客さまからの印象も上々です。不愛想にならないように、ていねい・親切を心がけましょう。
人と接するのが好き
人と接するのが好きな方は、タクシー運転手に限らず接客業に向いています。コミュニケーション能力の一種でもありますが、初対面でも臆せず接せられるので、働いていても苦になりません。
タクシー運転手のように毎日多くの人と関わる職業は、人が苦手な人にはどうしても不向きです。一生懸命な接客は好印象ですが、人と接するのが好きな人に比べるとストレスになりやすいでしょう。そのため、向き・不向きで考えると、やはり人と接するのが好きな方に向いている職業になります。
同時に、お客さまを思いやる接客ができることも大切です。たとえば、移動中も快適に過ごせるように、心地よい会話ができることや安全走行を意識するなどが挙げられます。お客さまの様子を伺いながら接客することも欠かせません。
運転が好き
「運転手」なので、運転が好きなことが前提になります。引越しや配達業も同じですが、一日運転をしているので、運転が好きなほどやりがいと楽しさを感じます。労働時間が長いといわれているタクシー運転手も苦になりにくいでしょう。
また好きなことで稼げるので、モチベーション高く働けるメリットがあります。
自己管理がきちんとできる
一般の仕事に比べて特殊な勤務体系なので、自己管理ができていないと事故につながりやすくなります。お客さまを乗せているので、なおさら気をつける必要があります。
タクシー会社によって夜勤の日数は異なりますが、心配な方は調整してもらうなど、自分に合った働き方ができるところを選びましょう。日頃からきちんと体調管理ができていることも大切です。
また、タクシー運転手は長時間座りっぱなしなことから、運動不足に陥りやすいといわれています。運動不足は慢性疾患のリスクを高めるので、定期的に体を動かすか、休憩中は屈伸運動をするなど工夫してみてください。
統計で見るタクシードライバーの仕事
タクシードライバーの仕事を実際の統計で見るとどのようになるのでしょうか。ここでは、統計で見るタクシードライバーの仕事について紹介していきます。
タクシードライバーの労働人口と年齢別割合
タクシードライバーの労働人口は、近年の高齢化社会と共に大きな変化を遂げています。全国ハイヤー・タクシー連合会のデータによれば、タクシードライバーの総数は約23万人(2023年時点)です。
その中でも、60歳以上のドライバーが全体の約60%を占めています。これは、ほかの業種に比べて高齢者の比率が非常に高いことを示しています。
厚生労働省の調べによると、タクシードライバーの平均年齢は60.7歳(2021年時点)となっています。とくに注目すべきなのは、50代から60代の労働者が全体の約40%を占めている点です。
この数字から見えてくるのは、多くのドライバーが、定年退職後も再就職先としてタクシー業界を選んでいるということです。一方で、30代以下の若年層のドライバーは全体のわずか10%程度にとどまっており、若者の参入が少ないことが明らかです。
今後は若年層のタクシードライバー参入を促進し、世代交代をスムーズに進めるための対策が求められます。
若手タクシードライバーを増やすには?
タクシードライバーの高齢化は、業界全体の活力やイノベーションにも悪影響を与える可能性があります。そのため、タクシー業界として、若年層の参入を促すための魅力的な労働条件や、キャリアパスの整備が求められています。
具体的には、柔軟な勤務時間や報酬制度の見直し、さらにはデジタル技術の導入による業務効率化が考えられます。働き方改革とIT化を推進することで、タクシー業界全体での人材確保と育成を促進し、年齢別の労働力バランスを改善していくことが可能になります。
若年層の積極的な参入を促すことで、タクシー業界はより活気に満ちた未来を迎えられるでしょう。
タクシードライバーの勤務時間
タクシードライバーは、働き方の特性上、比較的長時間の勤務を要求される職業のひとつです。さらに、勤め先や地域、労働条件によっても勤務時間や収入は異なります。
全国ハイヤー・タクシー連合会(令和4年6月時点)による調査では、労働時間の平均は186時間で、コロナ禍以降減少傾向です。しかし、全産業労働者と比較すると、9時間長い結果となっております。
一般的には、タクシードライバーの勤務時間は12時間以上のシフト勤務となります。これは、交通量や需要に応じて柔軟に働く必要があるため、夜間や早朝といった時間帯に働くことが求められるからです。
とくに都市部では、深夜や週末に需要が高まる傾向があり、ドライバーはその需要に応じて勤務時間を調整します。近年では働き方改革で勤務時間が短くなったものの、働き方の特性上、拘束時間は長くなってしまいます。
また、日勤勤務か隔日勤務の違いによっても働き方が大きく変わるため、採用時の応募条件をよく確認しておきましょう。
タクシードライバーの収入
タクシードライバーの収入は、勤務形態や働く地域などの要因で左右されます。基本的には、運転した時間や走行距離に応じて収入が決まりますが、地域の需要や競争状況、運賃設定なども影響を与えます。
全国ハイヤー・タクシー連合会によると、令和4年度のタクシードライバーの平均年収は、約29万円です。賞与を含めた年収換算にすると、約361万円という結果になっています。
都市部ではタクシー需要が高く、競争も激しいため、高収入を得ることが可能な場合もありますが、需要が少ない地域では収入が安定しづらいという課題もあります。さらに、近年では配車アプリを利用した乗客の増加や、サービスの多様化が進んでいることも、収入面に影響を与えています。
総じて、タクシードライバーの勤務時間と収入は、地域や労働条件に大きく左右される職業です。需要の変動や競争状況を踏まえつつ、ドライバー自身が効率的に勤務時間を管理し、収入を最大化することが求められます。
タクシードライバーの男女比率
タクシードライバーの職業は、長年にわたり男性が主に占めてきた職業のひとつです。タクシードライバーにおける女性の進出状況は、厚生労働省の統計によると9,470人(令和4年時点)です。
依然として、タクシードライバーの大部分は、男性ドライバーの割合が多いことが分かります。主な理由としては、タクシードライバーという職業が、長時間の運転や夜間勤務といった、特殊な労働条件であることが一因とされています。
また、一部の地域では、男性がタクシードライバーとしての社会的な期待や役割を強く感じていることも挙げられます。しかし近年では、女性タクシードライバーの割合も着実に増加しています。
女性が安全面やサービスの質の向上に貢献できるという観点から、多くの企業や自治体が女性ドライバーの採用を促進しているのです。女性ドライバーの活躍しやすい環境を整備する事で、深刻なドライバー不足に歯止めを掛ける狙いもあります。
タクシードライバーの健康状態
タクシードライバーは、長時間の運転や拘束時間の長さなど、労働環境が健康に与える影響についても知る必要があります。タクシードライバーは、長時間の運転を要求されるため、運転にともなう身体的な負担が大きいとされています。
とくに、長時間労働により同じ姿勢を保つことで、腰痛などの健康問題が発生しやすい職業です。ドライバーの健康が損なわれることで、タクシーが原因となる交通事故の発生リスクも高まります。
そのため、タクシー社会は安全な運行を維持することが強く求められます。タクシー業界では、長時間労働を防止し、無理のない勤務体制を整えるために「改善基準告示」というルールが設けられています。
一般的な労働者とは異なり、労働時間や運転時間、休息期間などの特別な規制が設けられています。これにより、運転者の健康を守り、安全で効率的な運行を確保するための仕組みづくりが行われているのです。
事故率
タクシードライバーは、毎日車を運転する仕事柄、交通事故のリスクが高い職業とされています。事実、タクシードライバーの事故率は、普通乗用車の1.5倍、乗り合いバスの6.7倍というデータもあります。(内閣府調べ)
さまざまな事故理由が挙げられますが、タクシードライバーの高齢化、健康起因による事故の多さが数字で示されています。法令違反別の事故件数の割合を見ても「交差点安全進行」「わき見運転」といった、安全不確認が全体の4割を占めています。
そのため、近年では、交通安全対策やドライバーの健康管理が重要視され、事故率の削減に向けた取り組みが進められています。
配車アプリの普及
タクシー業界における技術革新は急速に進展し、これまでの常識を大きく変えつつあります。スマートフォンを活用した配車アプリの普及により、タクシーの利用が大幅に便利になりました。
ユーザーはアプリを通じて近くのタクシーを呼び出し、運賃の見積もりやドライバー情報を確認できます。これにより、タクシーの利便性が向上し、需要と供給のマッチングも効率化されています。
自動運転技術の導入
自動運転技術の進展により、将来的には自動運転タクシーの実用化が期待されています。自動運転技術は、安全性の向上やドライバー不足解消に大きな影響を与えます。
日本での自動運転タクシーサービスの導入に関しては、2026年度の実用化を目指しています。
AIとビッグデータの活用
人工知能(AI)やビッグデータの分析を活用し、需要予測や運行最適化を行うことでサービスの質の向上が図られます。今後は顧客の利便性を高めつつ、運営効率を最大化する取り組みが進むでしょう。
モビリティサービスの統合
タクシーだけでなく、シェアリングサービスや公共交通機関との連携を強化することで、多様な移動ニーズに対応する、統合型モビリティサービスが展開されることが期待されています。
まとめ
タクシー運転手の仕事は、きつい側面も多いですが、メリットも数多く存在します。さいたま市などの都市部でのタクシー運転手は、長時間の勤務や、マナーの悪い顧客対応など、厳しい要素に直面します。
それでも、隔日勤務により休日が多く確保でき、自分のペースで働けるメリットがあります。さらに、職場での人間関係の悩みが少なく、地理的な知識を広げる機会でもあります。
タクシー運転手の仕事はきつさとメリットが共存し、個人のライフスタイルに合わせて選択できる職業といえるでしょう。